電子部品メーカーA社では、ファームウェア・ソフトウェアの品質向上を図るべく、出荷時の品質基準を策定し、さらに設計・開発プロセスの見直しを行いました。しかし、基準を見直したところでエンジニアのスキルが伴わなければ、理想とする製品は作れません。そこで、クワンタムソリューションに依頼し、エンジニア育成講座を開講することにしました。
A社にとってエンジニアのレベルアップは喫緊の課題として認識されていました。そこでクワンタムソリューションでは、エンジニア育成講座の実施を提案。独自の人材育成手法「SORA」を活用して、50名のエンジニアを対象にC言語実践研修を、上位8名のエンジニアを対象にDFD実践研修を行いました。
たとえばC言語実践研修は「美しいコーディングを修得する」との目標のもと、12名ずつ6回に分けて実施。新たに策定した出荷基準に準拠できる力を身につけるための実践的な演習を行いました。この講座はコーディングのテクニックを覚えることが目的ではありません。あくまでも、ものの見方、考え方、表現の力を醸成するという「原理・原則」を身につけることを目的としています。
そのため、講座はまず「適切な日本語の重要性」「美しいコードの定義」に対する理解を得ることからスタートしました。たとえば美しいコードを書くための視点として、「HOWではなくWHAT視点で変数名や関数名、ファイル名を命名する」「シンプルな論理でコードを作成する」といったことを伝えていきました。講座の題材には、A社で作られている実際のソフトウェアのソースコードを用いました。したがってC言語実践講座のテキストは、他社の講座に使い回しすることはできず、個々の会社向けにカスタマイズされたオリジナルテキストになります。
講座では論理思考を鍛えるために、「西堀流」に則って、現場現物の真の姿を見つける力の確認と対応力の醸成を目的とした演習を行いました。さらに各講座の後にはフォローアップ研修を実施し、効果の検証や確認を行いました。
エンジニア育成講座については、実施後のアンケートで「良かった」「非常に良かった」の割合が90%を超えるなど、A社の過去に実施した研修のなかでも記録的な好評価を得ることができました。なお講座は全員強制ではなく希望者に対してのみ行ったため、講座を受けたエンジニアと受けていないエンジニアの間で、実力に大きな差が付くことになりました。