大手電子部品メーカーA社は、LSIメーカーを買収し、LSI内蔵デバイスの販売拡大を進めようとしていました。ところが、かつてA社では大量のエンジニアのリストラを行っており、ファームウェア・ソフトウェア開発部門の実力低下や人員不足が著しく、それが製品開発の足枷となっていました。 そこで、エンジニアの中途採用を進めつつ全体のレベルアップを図るために、ワーキンググループを設置。ワーキンググループで社内のソフトウェアを見直したところ、開発プロセスから改善する必要があるとの結論に達し、上流設計におけるコンサルティングや人材育成に実績のあるクワンタムソリューションにサポートを依頼したのでした。
クワンタムソリューションがまず行ったことは、ソフトウェア出荷基準案の作成です。それまでA社には、ハードウェア製品の出荷基準はありましたが、ソフトウェア製品の出荷基準は存在しませんでした。顧客の信頼を得るためには、品質確保のガイドラインとなるソフトウェアの出荷基準は必要です。そこでクワンタムソリューションでは、 IPA推奨ガイドラインなどから項目・目標値を抽出し、プロダクト品質評価指標案を作成。また、ソフトウェア品質測定推奨ツールの選定を行いました。
また、同社のファームウェア・ソフトウェア開発部門の人員は、かつてのリストラにより、中途採用者が中心となっていました。いろいろな文化を持ち、かつある程度のスキルを持った人員が集まっていたために、それぞれのやり方は「バラバラ」。開発プロセスに関しても一応のルールがあったものの、エンジニアたちはそれを守らず、個人個人が独自のやり方でコーディングし、最終製品として仕立て上げていたのが現状でした。
そこでクワンタムソリューションは、出荷基準だけでなく開発プロセスの見直しも行うべきと考え、第三者検証を実施。ソフトウェア開発プロセス、コーディングガイドライン、ソフトウェアテストガイドラインの検証を行いました。さらにエンジニアの実力を測るため、4分野のソフトウェアのソースコードを、当社オリジナルの静的解析ツール「Job’s Sonar」にて分析。その結果、非常に多くの改善点が発見されました。
今回のコンサルティングを通して、お客様からは「ソフトウェアの作り方がガラッと変わった」という感想をいただきました。車載向け製品も作っている同社では、ハードウェアについては非常に厳しい基準で作っていたものの、ソフトウェアについては、エンジニアの気の向くままに作られていたのが現状です。出荷基準を設けることで、ソフトウェアの品質が確保できることになりました。